心臓移植とは

9.レシピエントの登録と移植患者の選択

 レシピエントとして適当である患者さんはすべて平等に心臓移植を受ける権利があります。従って、発生したドナー心の提供は公平に行われねばなりませんが、先にも述べたように、組織適合性を合わせたり、体格を合わせる必要がありますので、単に順番だけでレシピエントを選ぶわけには行きません。また、患者さんの状態によっては、非常に急がないとドナー心の提供の順番を待っている間に命を落としてしまうと判断されるような場合があり、こういった患者さんには順番を繰り上げる必要がでてきます。  
 ドナーが発生したとき、まず登録されたレシピエントの中から、①血液型(ABO型)が合っている、②ドナーリンパ球に対するクロスマッチ検査が陰性である、③体重差が20%以内(子供さんの場合は大きなドナーからの移植も考慮します)であるという3つの条件にあったレシピエントが選ばれます。  
 そのレシピエントの中から、病状と待機期間などを考え併せて決定します。現在の日本臓器移植ネットワークでは、登録・待機している患者さんの病状(医学的緊急度)を2つに分けて、強心剤の点滴を持続的に受けていたり、人工呼吸器や機械的補助循環(IABP、補助人工心臓)が必要な患者さんを緊急度1、それ以外の患者さんを緊急度2として、緊急度1の人を優先的に選択しています。もし表3に示す同順位内に複数名の候補者がいる場合は待機期間の長い人から優先します。  
 この選択作業は日本臓器移植ネットワークおいて、登録されたデーターに基づいて主にコンピュータを用いて行われます。
 尚、登録された患者さんでも一時的に肝臓や腎臓の働きが悪くなったり、肺炎などの感染症にかかったり、脳梗塞になったりして、心臓移植を受けていただく条件を満たさなくなった時には、緊急度を一旦3にして、その期間内にドナーが出ても心臓移植を受けていただかない場合があります。尚、その後、肝臓や腎臓の働きが回復したりして、再び心臓移植を受けていただけると判断した場合には、もとの緊急度(1又は2)に戻します。この場合には、緊急度3以前の待機期間も合算して、レシピエントの選択を行います。

表6. 医学的緊急度(医学的に見て心臓移植を優先する順位)

レシピエント登録の必要性

 レシピエントとして適当であるという評価を受け、インフォームドコンセントを得た全ての患者さんの情報(心臓病の名前、血液型、体重、全身状態など)をセンターに登録しておきますと、先に述べたようにドナーが発生したとき、その時点でそのドナーに最も適しているレシピエント候補者が誰か、どこの病院にかかっているか、また臨床的にみて非常に急ぐ必要のあるレシピエント候補者がいるかどうかが、移植情報センターですぐにわかります。