多くの場合、患者さんは自分にあったドナーが現れるまで、入院しながら適切な治療と看護を受けることになると思います。このように入院している場合でも、また自宅で療養している場合でも、規則正しい生活をしなければなりません。腎臓や、肝臓が悪くなるとか、胃や十二指腸潰瘍、全身性の感染症などにかかると心臓移植を受けられなくなります。飲暴食を慎み、十分に睡眠をとり、皮膚や口腔などを清潔に保つなど、健康管理に充分気を配らなければなりません。齲歯(虫歯)の治療も済ませておく必要があります。
本人だけでは、長期間、安定した健康管理を続けることができないことがありますので、家族の方にも全面的な協力をお願いすることになります。
ドナーが見つかるまでは、心臓移植を受けるにあたって問題ないかどうかを、定期的に検査(胸部レントゲン撮影、心電図、心エコー検査、血液検査など)します。ドナーは突然現れることになります。ドナーが見つかると、急に入院または転院することになります。いつでも入院できるよう、普段から心の準備が大切です。多くの場合、入院するとすぐに、いくつかの検査がありますので食事をとらずに入院します。
心臓移植後なるべく早く活動的な生活ができるように、移植前からできる範囲で適度な運動をすることが重要になります。疲れを残したり、体がむくんでくるほど運動したりすると心不全が増悪しますので、かえってよくありません。運動の内容と量について主治医に具体的に、詳しく相談して指示を受けなければならないことは言うまでもありません。
心不全の程度にもよりますが、可能であれば適宜歩くようにします。しかし、息切れや、胸痛などの症状がでるようならば、歩くのをやめねばなりません。ベット上安静の方でも、定期的に座位になったり、寝ながらでも簡単な脚の運動をしたりすることが移植後役に立ちます。脚や足首をまっすぐに伸ばしたり、曲げたりする運動や、足首を回転させる運動だけでもよいのです。このようなちょっとした運動でも、血行を良くし、筋力を高めます。
移植後は免疫抑制剤を飲むために、抵抗力がおちて感染症にかかりやすくなります。移植後長い間ベッドで安静にしていると、感染の危険性がさらに高まりますので、早期に離床するように移植前から心がけておくことが大切です。